🌿 今年の茶づくりは、原点回帰
今年の春、私は二度、体調を崩しました。

一度目は、春の茶づくりの準備の最中。
二度目は、茶摘みを終えたあとでした。
今年の厳しい暑さ。
そして、自分でも気づかないうちに積み重なっていたオーバーワーク。
身体は、とても正直でした。
「このままでは、長く続けられないよ。」
そう教えてもらったような気がしています。
思えば、この10年。
茶づくりを受け継ぐことに必死でした。
「美味しい。」
そう言ってくださるお客様の笑顔が嬉しくて、その期待に応えたい一心で、ただひたすら前だけを向いて走ってきました。
でも、これから先も茶づくりを続けていくためには、頑張ることだけでは足りません。
自分の身体を整え、休ませることも、茶づくりの大切な仕事の一つなのだと感じました。
だから今年は、「原点回帰」です。
これからも長く続けられる茶づくりとは何かを、改めて見つめ直そうと思います。
年々、「レジェンド」と呼ばれる摘み手の方は減っていきます。
夏の暑さは厳しさを増し、草の勢いも年々強くなっているように感じます。
私たち自身も、少しずつ歳を重ねていきます。
そして、茶道具を修理し、手入れをしてくださる職人さんも少なくなってきました。
そんな時代の中でも、私はやはり木桶で発酵させる阿波晩茶を作り続けたいと思っています。
農薬を使わず、
化学肥料に頼らず、
自然と向き合いながら育てた茶葉で、お茶を作る。
それが一番美味しい阿波晩茶になると、私は信じています。
これは、何年も茶づくりを続けてきた私自身がたどり着いた答えです。
便利なものが増え、効率よく作れる時代になりました。
その良さも理解しています。
それでも私は、
季節を感じ、
天気を感じ、
畑の声に耳を澄ませ、
自分の目で見て、
自分の手で触れ、
自然と対話しながら、お茶を作っていきたい。
効率だけでは生まれない香りとまろやかさがあり、
人の手だからこそ生まれる価値があると信じています。
一年を通して、ともに茶づくりを続けてくれる二人がいます。
私の想いを受け止め、
「量は少なくなってもいい。本物を、これからも長く一緒につくっていこう。」
そう言ってくれました。
その言葉に、どれほど救われたかわかりません。
私は、
何でも一人で抱え込み、自分で何とかしようとしてしまうタイプです。
でも二人は、
私が不器用なことも、
人より時間がかかることも、
一人ですべてを抱えきれる人間ではないことも、
ちゃんと理解したうえで、いつも自然に支えてくれています。
一人では続けられなかった茶づくりも、支えてくれる人がいるからこそ、ここまで続けてくることができました。
これからの人生は、
自分の心と身体を大切にしながら、
心から納得できる茶づくりを続けていきたいと思っています。
私の人生は、私のもの。
だからこそ、
私が心から「作りたい」と思えるお茶を、
支えてくださる皆さんへの感謝を込めて、
一つひとつの工程を丁寧に
積み重ねていきたいと思います
今、茶葉は木桶の中で静かに発酵しています。
目には見えなくても、微生物たちがゆっくりと働き、今年だけの味わいを育んでくれています。
そして毎年安定のまろやかさと香りに落ち着くのが、私たちの作る阿波晩茶
このあと天日干しを経て、ようやく今年の阿波晩茶が完成します。
発酵も、時間が育てるもの。
そして、人もまた、時間をかけて育っていくもの。
今年の茶づくりは、私にとって「原点回帰」でした。
体調を崩したことで、自分の身体を大切にすること。
一人ではなく、支えてくれる人がいること。
自然に寄り添い、自分自身にも寄り添うこと。
そのすべてが、これから先も、この茶づくりを続けていくために必要なことでした。
今を整え、未来を育む。
それは、お茶づくりも、人の暮らしも、きっと同じです。
今年も、このカミカツアサヒの風を感じ、土に触れ、自然の恵みに感謝しながら、一つひとつの工程を丁寧に積み重ねていきます。
皆さまにお届けできる日を、心から楽しみにしています。
発酵と香りの拵え処
Laugh(らふ)
今を整え、未来を育む


